浜松にご縁があって引越してきたのが6月でした。
それから1カ月位経ったころ、夕方に、夕食の買い物をと
スーパーへ行くためにご近所を自転車でウロウロしていたら
なぜか黒服の集団が・・・
あちらにも、こちらにもゾロゾロと歩いている。
えっ?!
今日は何があるの?
それにしても
あちこち地域いっぱいに大勢の喪服の人でいっぱい・・・
何?何??何???
実はこれは「盆義理」と言うらしい。
浜松(遠州地方)の盆義理とは
1.盆義理とは
初盆(お盆)は先祖を迎えて供養するものですが、遠州地方は盆行事を重視する土地柄で葬儀に参列した人の大半が初盆にもお参りに訪れます。
このようにお盆の夕方、初盆のお宅に伺うことを「盆義理(ぼんぎり)」
といい、浜松市近辺でおこなわれています。盆義理という風習は全国的にも珍しく、おそらく遠州地方独特ではないでしょうか?
引用元:花風舎 Soel Flowers「Flower Gift Zine」より
浜松(遠州地方)では、初盆を迎えるお宅にご近所の方、会社関係の方がお参りに伺うのです。葬儀に来た人はほとんど初盆にもお参りに行くので、結構な人数がいらっしゃいます。
葬儀の時とは違い初盆は、葬儀会場でするものではなく、自宅で執り行われるのです。ということは、葬儀の時よりもかなり大変なことになります。
イラストAC
2.盆義理の始まりは
三方原合戦で戦死した武士の霊を弔うため徳川家康が三河の念仏僧を招き、犀ヶ崖(浜松市中区鹿谷町)で盛大な踊りを交えた大念仏で供養したのが始まりといわれています。
笛や太鼓、鐘の音を響かせる「遠州大念仏」はその後、遠州各地で盛んに行われるようになり、それぞれの村の初盆の家を巡る行事へと変化していきました。多くの人が初盆の家を訪れる風習は、これをもとに根付いたということです。
3.盆義理はいつやるのか
初盆は浜松(遠州地方)の中でも地域によって7月(新盆)か8月(旧盆)に分かれますが、盆義理はそのどちらかの13日、14日のいづれかの夕方(地域によって決められる)になります。
お盆近くになると初盆を迎えるお宅の一覧が町内会で回覧されます。この回覧を見て初盆を迎えるお宅を確認し、盆義理に伺う家を決めます。
初盆飾り
4.盆義理の予算は
ご近所の方は親交のあるなしもありますが初盆を迎えるお宅に「盆供」と書かれたのし袋(お盆になるとスーパー、コンビニでも売っている)に1,000円位(大体の方が1,000円で親交が深い方はそれ以上の方も)を包みお供えします。
5.盆義理の礼儀
また、当日は大勢の方々がいらっしゃるので施主に
「初盆を迎えられてお寂しゅうございます。」
と挨拶だけして長話しないことが大切とか。
6.盆義理のお返し
そして初盆のお宅は、盆義理でいらっしゃった方をお迎えし、お返しをするなど対応をします。
お返しは
①会葬御礼状
②そうめん(大体はそうめんだが、その他の場合もある)
③お茶
です。
お返しにした左:そうめんと右:会葬お礼状
お茶をお返しにいれるのは、盆義理には多くの方がみえるのでお茶をお出しすることができないためだそうです。
盆義理は一度に何軒か回りますので、その度にそうめんにお茶(大体が缶ですが、ペットボトルのところも)をいくつも受け取り、相当重そうにして歩いている人ばかりです。お返しに缶のお茶ではなくペットボトルのお茶が続くと大変そうです。
7.盆義理渋滞
7月(新盆)、8月(旧盆)のいづれも13日か14日の夕方には 「盆義理」で町中喪服の人でいっぱいに・・・
近所でない場合は車で移動しますので道路も混みあってきます。 これを「盆義理渋滞」とも言われるそうです。
浜松市の人口約80万人、神道など、仏教以外の方は除いて、前年のお盆以降からその年のお盆までに亡くなられた方は同じ町内には1人はいると考え、あとは新盆(7月)、旧盆(8月)と、地域により時期が2つに分かれるだけ。そう考えると初盆7月13日か14日、8月13日か14日はどこの町も喪服(黒服)の方々がいるとういうことに・・・。
凄い話です。
私の実家がある愛知県では
初盆は家族、親戚は集まりますが
それ以外のご近所の方や職場の方までは・・・
愛知県は静岡県の隣で
こんなに近いのに
地域によってこんなに違うんですね
本当に驚きました。
おわりに
隣近所の方の顔を知らないということが多い昨今。
ご近所の故人のもとへ葬儀だけでなく、初盆までお参りにいくということは、故人への敬意とご近所の方々を大切にされる土地柄なのでしょうか。
そう思うと『盆義理』はとても素敵な風習ですね。