浜松といえば浜名湖のうなぎが有名ですが、遠州灘や浜名湖は魚貝類の宝庫で遠州とらふぐ、すっぽんや遠州生しらすなど美味しい海の幸がいっぱい。
その中でも浜松の人は「かつお」が大好き!マグロよりカツオが好きという人が多いのです。
私は、カツオといえば高知の「カツオのたたき」くらいしか知りませんでしたが、皆さん「もちがつお」ってご存知ですか?
また、浜松の人が大好きなカツオを調べてみました。
浜松でしか食べられない希少な「幻のもちがつお」とは
1.カツオについて
カツオの生態
カツオはスズキ目サバ科で、太平洋・大西洋・インド洋などの熱帯から温帯を大きな群れをつくって回遊しています。春になると南の方から黒潮にのって日本へと近づき、餌をたくさん食べて、10月頃丸々太ったら南の方へ帰ります。
カツオはマグロと同じように、常に泳いでいないと死んでしまう。これは他の魚が鰓蓋(えらぶた)を動かして鰓に酸素を含んだ水を行き来させているのに対し、マグロやカツオは自分で鰓蓋を動かすことができないため、泳ぐことにより口から新鮮な水を鰓に流し込まなければ窒息ししてしまうからだそうです。
カツオの特徴
カツオは成魚は全長1.1mほどになる魚で、寿命は約10年とされていて、市場には40~60㎝程のものが多いそうです。
漁獲量は
静岡の漁獲量は多く、県内でも焼津港は「カツオ(冷凍)」の上場水揚げ量日本一の漁港としても知られています。静岡県ではカツオを原料としてカツオ節やなまり節、カツオのたたきなど加工品が作られています。
平成29年における全国のかつおの漁獲量は218,977トンで、そのうち本県72,269トンを占め、日本一です。
全国のかつお一本釣り(遠洋)の漁獲量は47,860トンで、そのうち本県が16,586トンを占め、日本一です。
(引用元:静岡県公式HP)更新日:平成31年4月22日
写真AC
栄養は
大洋を大回遊するカツオの筋肉はエネルギーのもとであり、その筋肉を支える血合い部分はビタミン類、ミネラル類など栄養の宝庫。
(1)タンパク質
カツオは魚類の中でも高タンパクで、可食部100g当たりの含有量は、カツオ25.8g、マグロ24.3g、サバ19.8g、マイワシ19.2g、アジ18.7gとなっています。
(2)ビタミン類
カツオの血合肉には、基本的に肴に含まれるビタミン・ミネラル類のほとんどのものが含有されています。ビタミン類の中で特に多いのはB類とD類です。
(3)脂肪酸
カツオには血中コレステロール値を低下させ、脳を活性化する働きを持つDHA(ドコサヘキサエン酸)、血液の流れをよくするEPA(エイコサベンタエン酸)が多く含まれています。
引用元:柳屋本店創業明治初年 かつお節製造メーカーHP
2.初カツオと戻りカツオ
カツオはフィリビン東方海上で黒潮に乗り、沖縄付近を通って北上してきます。この群れは2月末九州南方海域、3月末に四国・紀州沖。4月~5月には伊豆・房総沖に至ります。この時期に獲れるのが「初カツオ」といいます。
8月には金華山、岩手県の三陸海岸沖まで達しこの海域で十分に餌を食べ10月頃間には丸々と太ったかつおが南下をします。その時に各地で獲れる鰹のことを「戻りカツオ」といい、脂が乗って美味しいです。
カツオに関して旬といえば4月、5月にピークを迎える初カツオのシーズンと、三陸沖で獲られる戻りカツオの8月中旬から9月下旬あたりだそうです。
3.もちがつおとは
浜松では「もちがつお」が食べられます。遠州灘では春は「もちがつお」、秋は「戻りかつお」が獲れます。舞阪港で水揚げされる「もちがつお」とは特に新鮮で死後硬直する前の真がつおのことをいいます。
では、何が違うのでしょうか?
保存のためにほとんど氷を入れないため身が締まらず、刺身で食べるととても柔らかく、お餅のようにモチモチ、ネットリ食感で、一度食べると病みつきになるんです。
4月から6月の天気の良い日に遠州灘の沖合で鰹漁が行われます。この時期はカツオは港から遠くないところを回遊しているため、水揚げ後死後硬直(水揚げ後4~5時間)する前に港まで運ぶことができます。
ただし、水揚げされた死後硬直する前のカツオが全て「もちがつお」ではなく、同じ群れの中に何割か含まれる希少で独得な弾力感があるカツオのことだそうです。
死後硬直する直前までにしか味わえない「もちがつお」は、もちろん日持ちがしないので、遠方へ出荷することが難しく地元でのみ消費されます。
この「もちがつお」が好きは浜松の人は、春を心待ちにしていて、春になると「もちがつお食べたい!」という声を良く聞きます。 ただ、天候や潮流など漁の条件が揃わないと獲れないので、
「幻のもちがつお」とも呼ばれているとか。
「もちがつお」を食べに行ってもお店にあるかどうか。あればラッキーって感じです。
秋の戻りカツオの時期には漁場が遠州灘の沖合から遠く南下するため、「もちがつお」の条件である、水揚げ後死後硬直前に食べるということができないため、戻りカツオに「もちがつお」はありません。
割烹大船のかつおのお刺身
4.浜松のカツオの食べ方
カツオのお刺身はどのようにして食べますか?
浜松では、お刺身を頼む時に
「皮つきにする?皮なしにする?」
薬味はショウガ?ニンニク?」
と聞かれます。
カツオのタタキなら皮つきのまま炙ってますが、お刺身で皮つきって?
そう、選べるんですよね。皮つきはもちろん身にくらべ食感がありまた美味しんです。
薬味も、カツオを食べる時はしょうがかわさびでしたが、浜松に来てからニンニクで食べるように。カツオのお刺身にニンニクはとても合うんです。是非経験がない方は試してみてください。
5.お薦めの店
私が行っているお店でお薦めの2店を紹介します。浜松に来たときは是非寄ってみてくください。
割烹大船
大将が毎日舞阪港まで足を運び、地元の遠州灘で採れた新鮮な魚を仕入れて作る地魚料理が味わえます。寿司、うなぎ、天ぷら、定食と魚料理が豊富でコースもあります。
山本亭
活魚にこだわり、地元浜名湖、雄踏港、遠州灘、舞阪港などで毎朝仕入れ、海水に入れた状態で入荷。魚のストレスをなくし最高の状態で味わえます。うなぎ、スッポン、とらふぐなど浜名湖で採れたものを料理。定食からコースまであります。
おわりに
私は刺身といえばマグロが大好きで、カツオは苦手でした。理由はちょっと生臭いから。 浜松に来て主人の家族が春になると、カツオばかり好んで食べていたので、カツオが苦手な私は「こんな美味しい物食べないなんて。」と言われ、しぶしぶ食べてみたら「美味い!」カツオの刺身って美味しいんだ。衝撃でした。
もちがつおとの出逢いもそうでした。初めて食べた時、食感にとても驚きました。他の魚にはないモチモチ、ネットリ食感なんですよね。
でも、もちがつおは、もちがつおを目的に食事にいってもない場合があり、希少なんですよね。
また、カツオの塩辛も美味しくお薦めです。
浜松だから様々な条件が整い味わえる「もちがつお」。食べる事が大好きな私にとってとても嬉しい出会いでした。今から春が待ち遠しいです。